「巣別れ」、という単語に聞き覚えはあるでしょうか?これは元々ハチが行う分蜂の別称で、その名の通り、虫たちが棲家を分ける行動に出ることを指します。

アリはもともとハチから派生していった生き物なので、その名残が今でもまだ強く残っているのでしょう。アリもまた、「巣別れ」をする生き物です。

しかし、一言で「巣別れ」といっても、いまいちピンと来ませんよね。特にアリなんて1つの巣の中にたくさん部屋を作りまくる印象がありますから、巣別れする必要があるのかという点でも気になるところがあると思います。

そして、だいたいはハチのそれと同じだとしても、アリの巣別れはいつぐらいに起きるものなのでしょうか?

夏は出逢いの時期?蟻の巣別れについて

アリは、ハチと同じく「1つの巣の中に1匹の女王」しかいない女王君主制の生き物です。巣の中で産卵ができるのは女王アリだけで、普段は働きアリしか生まれてきません。

蟻 巣別れ 時期

しかし、女王アリにも寿命があります。いつまでも1匹だけが君臨し続けているわけにはいきません。そこで、アリの巣の規模が大きくなってくると、女王アリは羽の生えた新しい女王アリと、同じく羽を持つオスのアリを生み出します。

巣の中で生まれた女王アリの幼虫はたくさんの栄養を与えられ、大事に大事に育てられます。そして繁殖期になると、その新しい女王アリと羽のあるオスアリ達が、いっせいに巣から飛び立っていきます。そして、巣から飛び出していった新しい女王アリは、また別の巣から飛び出してきたオスと交尾をします。これを「結婚飛行」と言います。

そうして交尾を終えた新しい女王アリは、地上に降り立ち、羽を落としてそこにまた新たな巣を作ります。オスアリのほうは交尾を終えたら亡くなってしまうので、女王アリ1匹で新しいコロニーを作り始める必要があります。

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こうして、女王アリが新たな女王アリを産み、その新たな女王アリが新たな巣を作る。この現象を「巣別れ」と言います

「結婚飛行」が成されるのが繁殖期であるため、「巣別れ」の時期も自然とアリの繁殖期と重なります。だいたい初夏から秋口、遅くて冬に差し掛かった11月頃までには行われますが、それより早かったり、遅かったりする種ももちろん存在します。ですが、だいたいのアリは6月から10月までの間に「巣別れ」を済ませます。

まとめ

「結婚飛行」もそうですが、この「巣別れ」という現象は基本的に最大でも1年に1度の頻度でしかお目にかかることのできない現象です。

女王アリが新たな女王アリを生む必要が出てくるほど巣が大きくない場合は、そもそも新たな女王アリ自体生まれることがないため、「巣別れ」はかなりのレアイベントであると言えます。

もし巣別れをしようとしているアリ達が居たら、それは彼らにとっての結婚式と送別会みたいなものなんです。気持ち悪い、と思うより先に、そっと見守ってあげるのもいいかもしれませんよ。

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