以前、東京・品川区の大井ふ頭にて、「ヒアリ」という小さく赤いアリが発見されたニュースが流れたのを、皆さんは覚えていらっしゃるでしょうか?

平成29年、つまり2017年の7月に人々へ知らされた情報ですが、実はそれ以前にも、6月以降、兵庫県や愛知県、大阪府などでもヒアリの存在が確認されていました。

貨物コンテナの中で見つかったヒアリは、その場では一旦殺処分されたそうですが……お気付きの方もいらっしゃる通り、『貨物コンテナの中に居た』ということは、どこかから日本の首都たる東京に運ばれてくるまで、そのコンテナはいろんな場所を運ばれてきました。つまり、通ってきたルート上にて他にもヒアリが出現し、人間へ被害を齎すかもしれない危険性が出てきてしまったわけです。

東京都は環境省などと合同で緊急調査を開始し、できうる限りの拡散防止対策を始めました。
そこまで警戒される、たった一匹のアリ。ですが、たかがアリだと侮っていては、ぞっとする恐ろしい目に遭うかもしれません。

「ヒアリ」ってどれぐらい危険なの?

「ヒアリ」とは漢字で”火蟻”とも書く、特定外来生物です。特定外来生物とは、生態系、人の生命、その他農林水産業に深刻な被害をもたらすおそれがある、と政令によって指定された、日本以外からやってきた外来種のことです。有名どころだとブルーギル、ミズヒマワリなんかがをよく聞いたことがあるかもしれませんね。

そんな特定外来生物のなかでも、ヒアリは世界の「侵略的外来種ワースト100選定種」に指定されています。一言でいうなら”絶対にうちの国には入れたくないもの”といった感じでしょうか。

どうしてそこまで危険視されているのか、というと、このヒアリという蟻、とんでもなく凶暴なうえ、強い毒を持っているのです。スズメバチと同じぐらい強力な毒、と聞けばなんとなくでもその危険さが伝わるでしょうか。

 蟻 危険 日本

そうです、ヒアリがこんなにも人間から危険視される理由は、その毒の性質と攻撃性の高さにあるのです。
ヒアリは、体長こそ2/5mm~6mm程度と小さめですが、その代わりに集団行動が得意で、場合によっては自分達より遥かに大きなネズミや爬虫類などもワーッと襲いかかって食べてしまいます。とんでもなく恐ろしい光景ですが、本当に観察された事でもあるんです。ものすごく攻撃的なので、ちょっと脅しても逃げてはくれません。むしろ人間相手にすら襲ってくる可能性があります。

実際、ヒアリの針に刺されて、そのまま亡くなわれてしまうことは稀です。火が付いたような痛み・かゆみが症状として出ることから「火蟻」と書きますが、本来はそこまで毒性の強い蟻ではありません。ですが、前述した通り、ヒアリの恐ろしさはその毒の強さではなく、性質にあります。

『スズメバチと同じくらい強力な毒』、と言いましたね?その通りで一度ハチに刺されたことのある人間は、ヒアリに刺されてしまうと、アナフィラキシーショックを起こしてしまう可能性があるのです。アレルギー症状は酷く出てしまうと本当に危険なことこのうえありません。しかもハチはまだ目立ってくれるので避けやすいかもしれませんが、ヒアリはその小ささ故に見立たず、気付けば知らずのうちに足元へ……なんてこともあるかもしれません。

いろいろな対策が政府からも実施されている現状ではありますが、自衛として、庭に出る時には必ず靴を履く、外にサンダルを置きっぱなしにしない、などなど出来る限りのことはしておきましょう。

そもそもどこから日本へやってきたの?

貨物コンテナそのものは中国・広東省から送られてきたものであるそうですが、ヒアリの原産地は南アフリカであるとされています。暑く湿った環境下で活動するヒアリは現在、北米を始めとしたフィリピン・タイ・中国・オーストラリアなどの国に定着しているようです。

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どうしてそこまで広範囲に生態系が広がっているのか、というと、実は7割ぐらい人間のせいなのです。
ヒアリの天敵である「ノミバエ」もまた同じく、アマゾンなどの熱帯地域に生息しています。原産地である熱帯地域では天敵に狩られてしまうため、ブラジルやアマゾンのヒアリはそこまで数を増やせません。ですが他の地域はどうでしょう?天敵の居ない自由な世界で、ヒアリはどんどん数を増やしていき、北米においては今や南米の十倍ほども繁殖されてしまっているのだといいます。

もちろん、それに対しても有効的な対策が数多く取られています。日本においては、日本にもともと居る在来アリがヒアリと戦って、外来種の侵食を防いでくれたりもしています。殺虫剤の散布が推奨されないのはそのためですね。せっかく戦ってくれている日本のアリ達にまで被害が及ばないよう、少しずつ地道に対策して、日本から出ていってもらうしかないのです。
もどかしいかもしれませんが、いつか努力が実をみのらせると信じましょう。

まとめ

怖く危険な蟻、「ヒアリ」について、いろいろとまとめてみました。
世界中から危険視されているアリが日本に来てしまった、というだけでもゾっとしますが、いつ、どこで見かけるかわからないというのもなかなか怖いですね。
屋外で作業する際にはお肌を露出しすぎたりしないようにしたり、じゅうぶん気をつけて生活しましょう。

お肌が焼けてシミ・シワに悩まされるのも怖いかもしれませんが、それ以上に怖いものが足元に潜んでいるかもしれないのです。手間もかかるし気も疲れますが、自分の身を守るための手段はきちんと取っておきましょう。

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