身の回りにいる昆虫の中で、蟻と蜂と言えばよくよく身近なところにいつも存在していますよね。でも、よくよく考えてみたら、蟻も巣も似たような形の巣を作り、中では女王蟻(女王蜂)が群れの全てを司っています。
頭には二つのぴょこんとした触角があって、円錐形のお腹がおおきい……こう聞くと蟻と蜂ってなんだか似た昆虫であるように思えませんか?
では、どこかどう違っていて、どこが似通っているのでしょうか。二つの種族の違いを、それぞれまとめてみたいと思います。
蟻と蜂の違いとは
まず、ここで蟻の正式な分類を見てみましょう。蟻は、ハチ目・スズメバチ上科・アリ科に属する昆虫です。
つまりどういうことだろう、とお思いになられる方もいらっしゃるとは思いますが、つまり蟻は「ハチじゃないけどハチの仲間」という、科目分けがされているんですね。なので、蟻は今でこそ蜂と区別されているものの、もとは同じ存在だった……と考えるのが自然な気がします。
では、蟻と蜂を分ける決定的なポイントってどこにあるんでしょう?……実はそれ、いくつかあるのです。
一つ、蟻と蜂はどちらも巣を作りますが、蜂の巣は子育てに特化した作りになっているのに対し、蟻の巣は生活居住区として使われるために整備されます。保育園と養護施設の違いのようなものでしょうか?とにかく、蜂の巣は子育てのために、蟻の巣は生活するために作られ、使われるもののようです。
次に、蜂は基本的に空中をあちこち広範囲を渡り飛びますが、蟻はたまにしか飛びません。えっ蟻って飛ぶの!?という疑問を持たれるかもしれませんが、蟻はそもそも、子供を作る時は空を飛びながら実にダイナミックなやり方で子作りしようとするので、どの蟻も皆飛べるのです。ハネアリの被害に悩まされたことのある方なら、彼ら蟻にも小さく薄い羽があることをご存知でしょう。
しかし、蜂が活動のほぼ全てを空中で行うのに対して、蟻は地上で活動します。どういった進化の過程があったのかは謎ですが、空の蜂と陸の蟻、これらは今やもうほとんど関わりのないものになってしまったのかもしれませんね。
違いより多いかもしれない、蟻と蜂の共通点
先程までさんざんここが違うあれが違う、と言っていましたが、やはり蟻はもともと蜂の仲間であったためか、共通点が多々見受けられます。
蟻と蜂の生息域は広く、どこにでも居ます。蟻の巣でも蜂の巣でも、女王たるメスが中心的役割を担う場合が多いです。虫たちの世界においてはかかあ天下が一般的なのでしょうか。また、生殖能力を持つオスは少なく、子供を作るとそのまま働けなくなってしまいます。だからこその女王文化なのかもしれませんね。
そして、どちらもわりと雑食です。なんでも食べます。食べかす、生ゴミ、昆虫、爬虫類……これしか食べない、という種はごく稀で、だいたいは周囲の環境に合わせて餌の範囲を広げていきます。好き嫌いなくなんでも食べてくれるところは、ぜひともいろいろ、見習ってほしいものがあるような、ないような。
蟻と蜂とは、違いを探すよりも似ているところを探してみたほうが早い間柄にあります。やはり元々同じハチ目から派生しただけあって、生態系が似通っているのでしょうね。
まとめ
そういえばあれもそれも同じだな、でもここは違うな、と、これまでいろいろな蜂と蟻の差異についてまとめてみましたが、やはり基本的には似ているところのほうが多いようです。
もちろん種類によっては全然違う生態系を作り上げているものもいますが、一般的によく見かける蜂と蟻には、見かけでわかるもの以外の違いはあまりありません。
だからといってどちらにも容易に近付いていってはいけませんよ。そう、お腹の辺りに毒針を隠し持っているところだって同じわけですから。しかも蜂の毒と蟻の毒ってほぼ同じ成分でできているんです。
一度既に刺されたことのある方は、アナフィラキシーショックという言葉を聞けば、その危険性が理解できるでしょう。
似ていないようでやっぱり似ている、そんな蟻と蜂。いつか彼らが共同生活を組むようになったら恐ろしいことになるかもしれませんね。