アリは地面の下に巣を作って生活するのがほとんどです。
暗い環境での生活が当然となっているので、視覚ではなく嗅覚が非常に発達しています。
目はほとんど見えない代わりに嗅覚を使って仲間を呼んだり、目的地に向かったりできるのです。
嗅覚が生命線の彼らにとって、フェロモンは道しるべといったところでしょうか。
そのフェロモンはどんな成分でできているのでしょうか?
謎が多い!アリのフェロモンの成分
アリのフェロモンは「匂い物質」と呼ばれるものです。
全容が明らかになっているわけではありませんが、特定の化学物質だと言われています。
アリは目的や用途に応じてさまざまな種類のフェロモンを使い分けています。
その種類はとある研究によると、なんと約30種類にもおよぶのです。
たとえば餌にたどり着くまでは、自分の巣に戻る「帰巣フェロモン」を分泌しながら進んでいきます。
餌を見つけて巣へ引き返すときは、「道しるべフェロモン」を分泌して帰るのです。
フェロモンは揮発性なので数分で乾いてしまうのですが、アリが移動しながら絶えずフェロモンを分泌しているので見失うことはほぼあり得ません。
フェロモンの構造について
世界に万単位でいるアリの種類のほんの一部しか解明できていません。
そのほとんどが謎に包まれている成分なのです。
わかっているのはアリは体内で複数種類のフェロモンを作り出し、用途に応じて使い分けている、と言うことです。
解明できているフェロモンについてお話すると、世界で最初にフェロモンの成分が解明されたのはテキサスハキリアリの道しるべフェロモンと言われています。
専門的な化学物質で、私たちには聞きなじみのない言葉ですね。
蟻はこういった複雑なフェロモンを体内で何種類と作成しているのです。
まとめ
身近な生き物は、そのほとんどが解明されていて、わからないことの方が少ないと思い込んでしまいます。
しかし実際はそんなことはないのです。
アリのフェロモンはアリの行動パターンのキーとなる物質です。
嗅覚を頼りに活動するアリにとってはそれが言語のようなものなのでしょう。
しかしその構成物質については、21世紀の科学技術をもってしても完全な解明には至っていません。
足下で餌を運んでいる身近なアリにも、まだまだ未知の部分が眠っているのです。