2017年、外来種の中でも蜂と同じ毒を持つとされる危険な蟻「ヒアリ」が国内に侵入してきた、なんてニュースが流れたことがありますね。 そこでびっくりした方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。

「アリって毒を持ってるの?」

祖父や祖母からアリの怖さを聞いたことがある、という方もいらっしゃるかとは思われますが、だいたいの日本人は蟻のことをそこまで危険視していません。蟻は確かに無害ではなく、時によって人の体に噛み付いてきたり、針を刺してきたりもします。噂の的になっているヒアリは、海の向こうからやってきた外来種です。

では、日本にもとからいる蟻にも、毒をもっている蟻が居たりするんでしょうか?

毒性はあるけど強くない?

実は、そもそも蟻って毒の強弱はあれど、みんな毒を持っているものなのです。蟻に噛まれた時、やたらとチカチカした感覚が残りませんか?

確実に無害だと断言できる蟻なんて、この世界に存在しているのかどうか怪しいレベルです。でも、ヒアリの存在が大々的に知られるまで「蟻の毒にご注意!」などの注意を受けたことがあるでしょうか。
たぶん無いと思います。個人的なお話のなかで「そういえば蟻ってね……」なんて聞いたことがあるひとはいらっしゃるでしょうが、蜂や蛇レベルで強く注意しなければならないものであるだなんて、聞いたことがないでしょう。

それもそのはず。日本には280種類以上の蟻が生息しているという観察結果が出ていますが、そのうち、人により身近な蟻……つまり人家の周りに見られる蟻の多くは、毒を流し込むための針を持たないか、持っていても針が弱くて刺せない種類がほとんどなのです。

蟻 日本 毒

 

中には、家にまで入ってきて家主を遠慮なく刺していくあの小さな赤い蟻達のように、比較的針が強い種類も居るのですが、それらは通常の蟻用殺虫剤で難なく対処可能です。

そこらの公園で見かける蟻達に至っては、へたなことをすれば当然体に群がってきて攻撃してくる場合もあるかもしれませんが、基本的にはそこまで危険な存在ではありません。

もし刺されてチカチカした痛みを感じた場合は、蟻の毒は蜂の毒と同じ性質を持っていますので、アナフィラキシーショック対策として早急に病院へ急ぎましょう。刺された瞬間亡くなってしまうほど恐ろしいものではありませんが、気をつけて然るべき存在ではあります。

日本から世界へ羽ばたいた蟻、「オオハリアリ」

では、ヒアリとは逆に日本から海外に進出し、猛威を奮っている蟻が居ることをご存知でしょうか。

「オオハリアリ」と名称付けられたそれは、ヒアリと同じぐらいの危険性があるにも関わらず、日本ではあまり話に上がりませんでした。

どこにでも住み着くことのできるヒアリと違って、オオハリアリは森の奥深く、山の中など、あまり人の立ち入ることがない場所を好みます。生活圏が異なっていたがゆえに、今まで目立たなかったのでしょう。

また、オオハリアリはシロアリ専門の捕食者としても知られていました。シロアリは枯れ木を好んで食べて巣を作るわけですが、オオハリアリはその朽木の中に巣を作ることで、やってくるシロアリをかもねぎよろしく食べてしまうわけですね。

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ともかく、そんなオオハリアリ、実は今アメリカのほうでは「強い毒性を持つ危険な外来種」として警戒がなされています。もともと、オオハリアリは日本でいうところのシロアリ専門業者でした。しかし海外に流出してしまったことによって、周囲の生態系の変わりように慣れてしまったオオハリアリは、今や昆虫や節足動物まで幅広く捕食できるぐらいに進化しているのだといいます。

そしてこのオオハリアリも、ヒアリと同じく強い毒性を持ち、人間が刺されるとアナフィラキシーショックを起こす危険性があります。オオハリアリは海外でも生きられるようになっただけで、べつに日本からいなくなったというわけではありませんから、日本人もまだまだ注意し続ける必要があります。

まとめ

たかが蟻、されど蟻、といった感じで気を抜いていると恐ろしい存在なのが彼ら「アリ」です。家の外で見つけても不用意に近寄っていったりせず、家の中で見つけてしまった場合は徹底的に追い出してしまいましょう。

基本、日本の住宅街近くに生息している蟻は危険性が低いのだといったって、みんな毒性を持っていることに変わりはないのですから。

正しい自衛で、健康な生活を。自分のご家族を守るためにも、対策法はしっかり学んでおきましょう。

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